「日本文化そもそも」とは、
日本文化の根本を知り
「そもそもこういうことだったのか!」ということに気づき
暮らしに息づかせるために
今の世の中から忘れられていることを取り戻し
本当の意味で、心豊かに暮らすためのヒントを見つける講座です。

※「サラダ隊」とは「こころ塾」の「和文化サラダ」開催時に結成された
ボランティアレポーターチームの名前です。
それぞれの感性で書かれたレポートをお楽しみください。

平成21年6月〜1月 講座内容と各先生のプロフィールはこちら。
読売新聞ホームページでも掲載されました。


日本文化そもそも  平成21年12月19日(土)


  その2
〜歳時記と食〜


講師: 芳井敬郎氏

(民俗学者・花園大学副学長)


場所:大徳寺保育園
 
レポート:聖護院大根   写真:吉田明彦

主催:和の学校  共催:京都府

京都府のホームページ内の

「京都eラーニング塾」で

動画配信しています。


京都eラーニング塾

http://info.pref.kyoto.lg.jp/el/


平成21年12月19日(土)に
大徳寺保育園で開催された
「日本文化そもそも」は、
歳時記に沿った 食文化 について
学ぶ講座でした。

ユーモアたっぷりの芳井先生のお話に
笑い声が絶えない
楽しい講座となりました。


芳井 敬郎(よしい たかお)

民俗学者。
花園大学副学長。
文学部教授。

1947年大阪市生まれ。
國學院大學文学部史学科卒業。
日本文化史・民俗学専攻。

日本の伝統的生活文化の構造と本質、およびその現代的意義について研究。
主な編著『民俗文化複合体論』、『織物技術民俗誌』、『祇園祭』等。

主要論著
『織物技術民俗誌』
『民俗文化複合体論』



第1部 講演
芳井敬郎氏
―季節ごとの食事―
ホワイトボードにいろいろな言葉を書きながら
楽しいお話をどんどん繰り広げる芳井先生。

会場はあたたかい笑い声が絶えず聞こえていました。

先生のご講演を聞きながら、
手元の「食のカレンダー」に
初めて聞いたこと、
気になったことなどを
書き込んでいきました。

普通は、直線的に1年を捉えますが、
京都の文化は
1年を輪で捉えています。

輪が連なり、
お団子のようにして
1年1年が積み重なっていきます。

このように本日のお話を始められた
芳井先生。

何気なく繰り返している
日本の年中行事の1つ1つに
意味があります。

私たち日本人は、
この大切な日本文化を
忘れてしまっているのではないでしょうか、
という問いかけが心の中に残っています。

本日は、数ある日本の年中行事の中から、
「五節句」に焦点を当て、
万葉集などの歌を交えて
お話いただきました。

五節句とは、
江戸幕府が決めた祭事で、
日本の祭事の中でも
独特な食文化を持っており、
「元日」「上巳」「端午」
「七夕」「重陽」のことを言います。

これらの、いわゆる「祭」は、
普段手に入らないご馳走を
神様と共に食事をさせていただくことで、
「共食(きょうしょく)」
「直会(なおらい)」と呼びます。

年中行事に限らず、
冠婚葬祭も含まれます。

【元日 1月1日 
  または人日(じんじつ)1月7日】


かつて、お正月は
ご先祖様が私たちの元へ
帰ってくる日とされていました。

「なき人のくる夜ときけど、君もなし。
我が住む宿や玉なきの里」
(『和泉式部集』)
と唄われたように、
約1000年前から、
お正月はご先祖様ではなく
神様が来られる日とされ、
現在はご先祖様が帰ってくる日はお盆ですが、
昔は年に2回このような日がありました。

日本の伝統は、
少しずつ変化しているのです。

みなさんもよくご存知の、
お正月に飾られる門松や注連縄にも
それぞれ意味があります。

これらは「依代(よりしろ)」と呼ばれ、
神様に来ていただき、
家へ迎え入れるために用意します。

そして、神様が来られたら、
お供え物を供えます。

その他、お正月にはこのような慣わしがあります。

参考:和文化サラダ 「祝〜お正月は何をするの?〜」

http://www.wanogakkou.com/kokoro/kokoro_sarada003.html

年棚(恵方棚・歳徳神) 玄関において、その年の良い方向に向ける。
標縄(注連縄) 人の出入りする場所に置くと全体に巻いたのと同じ状態になる。
家を囲い清涼の地とする目印。
魂祭 晦日に行う。
昔はお正月もお盆と同様に先祖の霊が帰ってくる日と考えられていた。
雑煮 「雑」とは色々な種類のものが入っているという意味。
地域によって入れるものが違う。
白味噌・頭芋・丸餅・大根・里芋・花鰹など。
御節料理 数の子、黒豆、田作など、それぞれに願いを込めた、意味のある食材が入る。
鏡餅 鏡とはご神体のこと。
餅の丸が魂を表している。
新しい魂を自分に入れようとする。
新しい魂に入れ替えるために置く。
若水 若返る水。
元日の朝、日が明けないうちに井戸から水を汲み、飲む。
お屠蘇 一年の邪気を祓い、長寿を願い飲む薬酒。
鬼気を途絶させ、人魂を蘇生させる。
七草粥 春の七草といわれる「せり・なずな・御形・はこべら・ホトケノザ・すずな・すずしろ」を刻んで入れた粥。
1月7日にいただく。

 

【上巳(じょうし) 3月3日】

江戸時代から始まった風習であり、
宮中からではなく都市から流行し、
発信された行事と言われています。

元々は「あがもの」という、私たちの代わりに汚れを背い、
祓ってくれる人形を祀る行事でした。

汚れは伝染すると考えられていたため、
汚れを人形に移して、 清め、
「流し雛」として人形を川に流す文化がありました。

この歌にもその様子が現されています。

  この国に通ひける陰陽師召して祓へさせ給ふ。
      船にことごとしき人形載せて流すを見給ふにも

                 (『源氏物語』須磨の巻)

参考:和文化サラダ 「雛〜ひなまつりの世界〜」

http://www.wanogakkou.com/kokoro/kokoro_sarada005.html



【端午 5月5日】

奈良時代から続く古い行事で、
端午というのは、もとは月の端(はじめ)の午(うま)の日という意味で、
5月に限ったものではありませんでした。

しかし、午(ご)と五(ご)の音が同じなので、
毎月5日を指すようになり、やがて5月5日のことになったとも伝えられます。

急に暑くなるこの時期は、
昔から病気にかかり やすく、亡くなる人が多かったそうです。

そのため、5月を『毒月』と呼び、
厄除け・毒除けをする意味で菖蒲やヨモギ・ガジュマロの葉を門に刺し、
薬用酒や肉粽を飲食して健康増進を祈願していました。

菖蒲は「菖蒲葦」「菖蒲枕」「菖蒲酒」など
生活の中で様々な用途に使われていました。

菖蒲やニンニク、ドクダミのように、
匂いなどに特徴のある植物を体内に入れることにより、
体内の悪霊を退散することができると考えられていました。

「菖蒲」と「尚武(武道、武勇を重んじること)」をかけて、
端午の節句を尚武の節日として、
男の子のお祭りとして盛んに祝うようになったのです。


【七夕 7月7日】

みなさんもよくご存知の七夕は、
天の川をは さんできらめく牽牛星・織女星の物語。

いまから2000年前にはすでに中国で成立していた伝説だといわれています。

機織りに励んだ天上の織女にちなんで、
星に技芸の上達を祈る「乞巧奠(きこうでん)」という宮中行事が生まれ、日本へと伝わりました。

こうして7月7日の行事である七夕は、
日本では奈良時代に宮中の行事としてとりおこなわれるようになりました。

もっとも、乞巧奠の伝来以前の日本にも、
7月7日にけがれをはらう行事があったといわれています。

江戸時代になると、七夕の行事は民間にも広がります。

笹竹に短冊をかざるスタイルもこのころ定着したようです。

7月6日の夜に七夕踊り(盆踊り)を踊ると良縁に恵まれるといわれています。

この日は、瓜や茄子、角豆や索餅などを神様に供えます。


【重陽(ちょうよう) 9月9日】


天武天皇十四年(686)から始まったといわれています。

陰陽思想では奇数は陽の数であり、
陽数の極である9が 重なる日であることから「重陽」と呼ばれており、
旧暦では菊が咲く季節であったため、「九月九日菊花宴式」(『内裏式』)と言われ、
「菊の節句」とも呼ばれています。

菊は中国から伝来し、長寿延命の効きめがあると伝えられています。

中国では「陽+陽=陰」(奇数:陽数、偶数:陰数)とされ、
悪霊を払うために行われていた行事です。

邪気を払い長寿を願って、菊の花を飾ったり、
菊の花びらを浮かべた酒を酌み交わして祝ったりしていました。

 




第2部
ほっこりタイム

三條若狭屋さんの「なるみがた」。
よく見ると本当に美しい紋様が型どられています。

先生いわく
「口の中に入れるとすっと溶けてミルクのようで、
ものすご、おいしいんですわ。




ほっこりタイムでは、
先生お勧めの三條若狭屋の
「なるみがた」という
正倉院御物の文様を型どった
純和三盆糖の打ち物のお菓子と、
暖かいほうじ茶を頂きました。

お菓子を頂きながら、
参加者の皆さんからの質問に、
先生にお答えいただきました。













Q. 昔は、現代のようにメディアがない中で、どのようにして伝統を継承してきたのでしょうか?
A. 昔は、各家庭で祭事について伝承していました。言葉を具現化することで、祭事を生活の一部とし、なぜそのような形で祀るのかという背景を教え、実施することができていました。
   
Q. なぜ、現在、日本文化が廃れてきいまっているのでしょうか?
A. 日本の戦後教育では、因習的に古いものを排除してきました。伝統に対して、「型は創造性を欠く」と負のイメージを抱くようになってしまったのです。また、社会的環境も大きく変わり、若者の日常に日本の伝統が機能しなくなることで、伝承者がいなくなってしまいました。今では、若者には伝統が異文化に見えるという言葉も聞きます。
   
Q. 新しい食のカレンダーなどについて、どう思われますか?
A.

現在、節分に恵方巻を食べたり、2月14日にチョコレートを贈るなど、新しい食の文化が定着してきています。三代(約100年)続いた伝統が、民俗学の対象となりますので、このような文化は、基層文化の上に表層文化としてかぶさり、定着することで「文化」となります。つまり、「風俗(流行)」も定着すれば、「民俗」となるのです。






サラダ隊 聖護院大根 の 思ったこと

芳井先生の真面目な表情から、
ふと楽しい雑学のお話を聞くことができ、
会場からも笑い声が絶えませんでした。

とても勉強になったと同時に
とても楽しい時間を
過ごさせていただきました。

先生が冒頭にお話くださった、
「普通の人の人生は直線ですが、
京都の人の人生は1年1年が円となり、
串団子のような形をしています」
という言葉が印象的でした。

昔の人は、毎年必ずやってくる、
お正月をはじめとした
五節句をとても大切にし、
生活の一部として取り入れてきました。

その日本文化が
廃れてしまっていることは
非常に悲しいことです。

もっと若い人たちに
「伝統」を身近に感じてもらいたいな、と思います。

そのためにも、この和の学校のように
情報を発信する場が
必要となってくるのではないかと思います。
 
私の祖母をはじめお年寄りが、
「今のお正月はお正月という感じがしない」と言います。

かつては、
一番湯に浸かろうと銭湯に押しかけた人々、
一週間かけておせち料理を作るお母さん、
着物を着て記念写真を撮る家族。

そんな姿を見ることができたそうです。

しかし、お正月に着物を着る人が減り、
鏡餅や注連縄もプラスティック製品が
目立ちます。

24時間営業のスーパーの出現で
おせち料理を作る家庭も減りました。

昔は一枚一枚手書きで書いていた年賀状も、
近年では携帯電話やパソコンで済ましてしまいます。

変わってしまったことは悪いとは思いませんが、
五節句に見られていた「節目」や「けじめ」という気持ちも廃れないことを願っています。

当日のアンケートから
とてもよかったです。日々の生活に役立てたいと思います。

日本の伝統又は歳時記に関しては
講師によって違うお話も聞かれると思いますので再三お願いしたい。
こんなにも季節によって行事があるのに何も意味が分からないまま日々過ごしていました。
これからはもっとその意味を考え、季節を楽しみたいと思います。

貴重な体験を有難うございました。これからも宜しくお願いいたします。
寒い中の受付の方々お疲れ様でした。お風邪など召しませぬ様。

抹茶がほしかった。

本日は楽しい講座有難うございました。
意識の底にある日本人の心を見つめることが出来ます。
心して先祖の伝えを子供達にも伝えてゆきたいと思います。
とても楽しい講座でした。参加させて頂いて有難うございました。
先生のお話は変化に冨みとても楽しかった。
食のカレンダーは参考となったが、意外と食のカレンダーに沿って
季節を楽しんでいたと驚いている。
8月の食が空白なのは残念である。
京都に70年暮らしていて、あそういうことだったんだと思うことが多くて、楽しい一時でした。
楽しい語り口で知らないことなど教えていただき、興味深く聞くことが出来た。
よい催しなので、長く続けていただきたいと思います。


スタッフ後記
カレンダーにスタッフ手づくりのぽち袋や箸袋。
和の学校の小さなお店に
皆さん楽しんでくださったようです。



今回の講座は、
この冬一番の冷え込みと言われた
お天気の中、
子供達の元気な声が聞こえる
大徳寺保育園の教室で開催されました。

参加者の皆さん、
ご参加頂きありがとうございました。

前回の日本文化そもそもに比べ、
大きな荷物などの準備はありませんでしたが、
早くからスタッフが駆けつけてくれました。

会場の後ろでは、
和の学校で販売しているカレンダー、
スタッフ手作りのぽち袋、
祝い箸の箸袋
(京都の老舗のお店から
いらなくなった包装紙をいただき、
それで作りました)
などが販売されており、
参加者の皆さんが
「どうやって作ったのですか?」
「とても可愛いですね。」と
スタッフとの会話が弾み、笑顔が飛び交いました。

2010年も様々なイベントが待っています。

とてもワクワクした気持ちで新年を迎えます!

ぽち袋。
京都の老舗の包装紙を使って作りました。
こちらはお正月用の箸袋。
包装紙のリサイクルとは思えない完成度です。

受付の様子。
寒くても、いつもあたたかい笑顔で迎える
和の学校スタッフです。

右が京都府スポーツ生涯学習室の米山さん。
京都府と和の学校の共催を進めてくださった方です。
e-ラーニングについて宣伝中。

 


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