和文化サラダは日本文化のエッセンスを
サラダボウルのようにいろいろ体験できる講座です。
季節をテーマとして、その道の先生に優しく楽しく語っていただきます。

これは和の学校ボランティアスタッフが「サラダ隊」となって
それぞれの感性で書く「和文化サラダ」レポートです。

平成18年10月〜平成19年3月 講座内容と各先生のプロフィールはこちら。

平成19年4月〜9月 講座内容と各先生のプロフィールはこちら。

読売新聞ホームページでも掲載されました。


和文化サラダ 第9回 平成19年8月26日(日)


   〜すべての源〜
 
レポート:サラダ隊 賀茂なす  写真:吉田明彦

第1部 鈴木康久さん、高井和大さん 講演
カッパ研究会世話人の鈴木さん。
京都の水と文化については
とてもとても詳しい方。
貴船神社で行われたこの日の「和文化サラダ」。

でもこの日の参道は人も車もぎっしりで
きっとたどり着けなかった方もおられたはず。
人間のカラダの60%を占めるという「水」。

生物の命を支え、
暮らしの中でも大切な役割を持つ
「水」にスポットを当て、
「水―すべての源」のテーマで
お話をしていただきました。

前半はカッパ研究会の
鈴木康久さんが
「暮らしと水」の観点から、
後半は貴船神社宮司の
高井和大さんが
「尊い水と貴船神社」について
語られました。



【 カッパ研究会 鈴木康久さん 】


京都の水には3つの要素があります。

1つ目は「水の神様」が京都にいらっしゃるということ。

天皇が住まう地であった京都は、
すべての神事の始まりの場でもあります。

平安時代に京都に都が移ってからは、
貴船神社が「水の神様」となったのです。

2つ目は「都市計画の中に水路を取り入れた地」であること。

平安京を作った時に、
運河や排水などに使う10本の川を
計画的に作ったのです。

「今出川」など、
京都の地名に
川がつくものが多いのはその名残です。

平安京とは、
上水や下水の完備された都市であるという点で、
ほかとは大きく異なっています。

3つ目は「良質な水に恵まれていた」ということ。

京都の地下には
琵琶湖と同じくらいの量の水が
眠っているといわれています。

地下3メートルくらいのところに
良質の地下水が豊富にあった京都では、
水や井戸などについての感覚が、
他の地方とは異なっていたと考えられます。

京都人の身近な存在であった水は、
次第に各地の名水として
数えられるようになり、
「芹根水」「醒井水」「少将井」などと
名前が付けられ
特別な意味や価値を持ち始めます。

貴船神社宮司の高井和大さん。

これが「おかみ」の字 です。
 

高井宮司が掛けてくださったお軸。
今日のテーマにぴったりです。

「杓底一残水(しゃくていのいちざんすい)」
(書:裏千家 千玄室)

永平寺開祖の道元禅師の言葉。
永平寺の総門にこの言葉が刻まれています。

参考にご覧ください。
臨済禅 黄檗禅 公式サイト

「名水番付」や
双六の中にも「8つの名水」が登場し、
生活の中に名水が深く溶け込みました。

京都の食も名水と共にありました。

たとえば、酒、麩、和菓子などを作っている店に、
有名な井戸が存在するケースがあります。

良い製品を世に送り出すには、
水道水よりも
井戸水(名水)が向いています。

京の食文化は
名水に支えられて発展し、
現代まで伝えられているのです。

食文化だけでなく、
暮らしや生活にも水は欠かせません。

かつて人々は水の周辺に集い、
水のある場所に集落ができました。

水が見えるところに生活があったのです。

しかし、今は水は水道管や
下水管として地面に埋め込まれてしまい
目には見えません。

水の大切さを再認識するためにも、
私たちは水の見える場所、
水の近くで暮らすことが
必要なのでは無いでしょうか。


【 貴船神社宮司 高井和大さん 】

貴船神社は、
水の神様の総本宮です。

祭神は「高☆神(たかおかみかみ)」
または「闇☆神(くらおかみのかみ)」と呼ばれます。

「☆」は、水の湧き出すところという意味です。

貴船神社は、
雨を降らせるなど
“水の供給”をつかさどる神様であったため、
時の天皇からも
「雨乞い」や「雨やみ」の
要請を受けてきました。

貴船神社の名前は
「黄色い船に乗った神様がこの地に来られた」ことに由来すると言われます。

しかし、わたし個人としては
「木生嶺」や「木生根」から
貴船に変化したのではないかと考えています。

雨を降らせることも大切ですが、
水をしっかり大地に留めることも大切です。

雨は木や森が蓄えるもの、
森林こそが豊かな水を
育んでいるとも言えるからです。

私たちの祖先は
むやみに木を切ることはありませんでした。

1本切るたびに倍の木を植える「植林の文化」を作り上げていました。
植林は、水を守る知恵だったのです。

相撲には特別な意味を持つ
「水入りの大勝負」や「力水」といった言葉があります。

また清めとして水をまく「打ち水」という文化もあります。

「禊(みそ)ぎ」にも水を使ってきました。

日本人は「水」というものに
不思議な感情を抱いています。

単なる「water」ではなく、
特別な想いを持っているのです。

特別な想いを持っている「水」。
そんな「水」に触れるたびに、
水の神様である貴船神社を思い出してください。

☆は雨冠の下に「口」を3つ、さらにその下に「龍」の字

水が豊かな貴船神社。

左は「水占みくじ」。
おみくじを水に浮かべると字が浮き出てきます。


第2部 「利き水」にチャレンジ!
じっくりと飲み比べています。
意外に味が違うものなんですね。


第2部では「利き酒」ならぬ
「利き水」にチャレンジしました。

7種類の水を飲み比べ、
それぞれどの水かをあてていただきます。

用意したのは、
市販されているミネラルウォーターの
「クールマイヨール」
「エビアン」
「南アルプスの天然水」の3種と
「水道水」、
そして京都の名水3種
「神水(貴船神社)」
「染井の水(梨木神社)」
「御香水(御香宮神社)」。

手を上げていただいた2名の方に、
まずは飲み比べてもらいます。

なじみのあるミネラルウォーター3種と
水道水はカンタンなようですが、
残りの3種で難航され
残念ながら全問正解とはいきませんでした。

鈴木さんによると、
水の味を判別するにはいくつかのポイントがあるそう。

1つは「水の硬さ」。

水はカルシウムやマグネシウムの含有量により、
軟水、中硬水、硬水の3種に分けられます。

水の硬さを示す硬度という単位で表すと
水道水が30〜40程度 、
「染井の水」は30、
「御香水」は90くらい。

「エビアン」の硬度は300程度、
「クールマイヨール」は硬度が1500以上もあります。

硬度の違いは味に現れるので、舌で判別できます。

もう1つは風味の差です。

冷たくするとわからないのですが、山の水は温くなると臭みが出てくるとか。

説明を聞きながらそれぞれ試飲。

「硬い!」「これはわかるね」など、飲み比べます。

「クールマイヨール」の硬さはわかるようですが、
名水については「おいしい」以外の判別は難しかったようです。

「お!二つ目まで正解です!
「やった〜!」

一人の方は4つ、
一人の方は5つまで当てられました!

「すごく優秀ですね〜!
ここまでなかなか当たりませよ」
と、鈴木さんもおっしゃっていました。
クイズのあとは、みんなでワイワイ言いながら試飲です。
「あ、これはわかる、わかる」
「うーん、難しい」
「美味しいねぇ」
などなど、皆さん口々に言っていました。
今回のお菓子は、
麸嘉(ふうか)さんの麩饅頭です。
ここのお店も地下水で麩を作っています。

麸嘉さんのご主人も「水」にはとてもこだわっておられ
京都新聞に「京の水」をテーマに
意見広告を出されたほど。

しっとりとした生麩には青海苔が練りこまれています。
青海苔と笹の香りがなんとも爽やかな
夏にぴったりのお菓子でした。


「フランスの水はどうなんでしょうね。
ワインなんか美味しいじゃないですか」など
いろいろな質問が飛び出しました。

その後は麩饅頭をいただきながらの
ほっこりタイム。

神社についてや水についてなど、
たくさんの質問が出ました。

「日本の水と世界の水の水質の違いは?」
との質問には 、
「さすがに“世界の水”となると、
状況はよくわかりません」とのこと。

一般的には「山の水」が一番水質がよく、
次いで「井戸水」 「川の水」の
順になっていますので、
どの水を利用しているかを調べると、
水質がわかるのではないか
とのお話でした。

特に井戸水に関しては、
井戸水ならいいというわけではないとのお話も。

水銀や硝酸が混じっていることも多いので、
地域や国によって差があるのだそうです。

最後に高井宮司と鈴木さんからあいさつがあり、
まずは閉会。

今回は、さらにこの後、
高井宮司にご案内いただき、
貴船神社を見学するというイベントも。

貴船神社は、和泉式部にも縁のある
「縁結びの神社」であること。

夏に見られる蛍の話、
貴船神社の建て替えや修復に関してなど、
楽しい話を聞きながら奥宮まで案内していただき、本当の終了となりました。

特別に高井宮司に奥宮までご案内いただきました。

サラダ隊 賀茂なす の思ったこと

今日のお花:アブラドウダン・クマヤナギ

花政さんのご主人による花。
爽やかな緑に少し秋を感じる実がきれいです。


夏真っ盛りの暑い一日でしたが、
さすがは京都の奥座敷
「貴船」だけあって、
市街よりは数度ほど
涼しかったような気がします。

「水の神様」である貴船神社、
水に浮かべると
文字が浮かび上がる「水占みくじ」や、
川の上に床を出して涼を取る「川床」など、
水と深いかかわりを持つ
貴船で聞く「水」のお話は、
ほかの場所で聞くのとは少し違う、
特別な意味を持つように感じました。

普段は水道水を使っていますが、
近くには「名水」と呼ばれる水があり、
自由に汲んでもいいという
地域で育った賀茂なすにとって
「水」はごく身近にあるものです。

大切にしてはいますが、
それでもあまりに近すぎて、
そのありがたさを
忘れてしまうこともあった気がします。

今回のお話を伺って、
「水」への思いを新たにしました。

つい見落としてしまいがちな
「水」のありがたさや意味。

すべての源である「水」のことを、
今一度考え直してみるべきかもしれません。
 
当日のアンケートから
日常生活の中で水が自然の恵みであることをついつい忘れがちな現代ですが、
先日中山道を歩いていて途中で滝を見つけたりして
すごい何とも言えない感動を味わいました。

改めて、今日のお話を伺って、水という自然への感謝の気持ちを大切にしたいと思いました。

自然(水、森、土)を思いのまま操れると勘違いしている最近の人達は、
今一度自然への尊敬の念を持ってきた日本人の心を思い出して欲しいと思いました。

本当に大切にしなければならないものは、
すぐそばにあってそうとは気づかないものなんですよね。楽しいお話ありがとうございました。
古くからの日本人の心のあり方を再認識しました。
又、水の大切さをもう一度考えたいと思いました。
いいお話をありがとうございました。
夏休みの日曜日の混雑する場所だった為、参加できるか心配しました。
話の内容が楽しかったので、もっとゆっくり機会があれば聞いてみたかったです。
来るまでに人の多さに閉口し、不快の塊になってしまいました。
(トイレが坂の下でまた登らないといけない)
会場からのながめがよかった。
水の飲み比べがおもしろかったです。

スタッフ後記
本日のお花:桔梗
花政

晩夏らしく清楚な桔梗が涼しげです。

貴船が最高に賑わう季節に行なわれた
「和文化サラダ」。

暑い季節、
たくさんの観光客であふれる場所での開催でしたので、
足を運ばれた方も大変だったのではないでしょうか。

細い道に車や人があふれ、
なかなか現地にたどり着けなかった方も多かったようです。

しかし「水の総本宮」である
貴船神社の中での講座、
さらに宮司に案内していただいての散策など、
困難を乗り越えてたどり着いた価値(?)は
十分あったのではないでしょうか。

出張講座は
テーマに合った雰囲気を感じ取れることも、
重要な魅力の一つ。

不慣れな会場で、
準備にバタバタしてしまうこともありますが、
現地出張での講座がまた実現すればいいなと思っています。

 

sin-biの方と並んで和の学校スタッフは
子連れで受付をしました。
5歳のこの男の子も
きちんとスタッフとして活躍していましたよ。
sin-bi以外の会場で開催するときは
この「和の学校」のノボリを立てます。
これもスタッフの重要な仕事のひとつ。
次回は、9月26日(日)暦―旧暦を暮らそう― 松村賢治先生です。

平成19年4月〜9月 講座内容と各先生のプロフィールはこちら。


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