和文化サラダは日本文化のエッセンスを
サラダボウルのようにいろいろ体験できる講座です。
季節をテーマとして、その道の先生に優しく楽しく語っていただきます。

これは和の学校ボランティアスタッフが「サラダ隊」となって
それぞれの感性で書く「和文化サラダ」レポートです。

和文化サラダの全講座内容と各先生のプロフィールはこちら。申し込みもできます。

読売新聞ホームページでも掲載されました。
和文化サラダ 第3回 平成18年12月8日(金)

   〜お正月は何をするの?〜
 
レポート:サラダ隊 賀茂なす  写真:松尾宇人 金時にんじん 賀茂なす
第1部 芳井敬郎先生 講演

和の学校スタッフ・山下作の、注連縄の数々。
熟練工になると、こんな注連縄も作れるそうです。
亀の前足には、金と赤の水引があしらわれています。

こちらは亀のアップ。

生活の中で
何気なくおこなっている「年中行事」。

「文明国になってしまった今の日本では、
科学ばかりが重視され、
年中行事の意味は失われていますが、
本来はすべてに理由があった」
と、芳井先生。

1年間が直線的なものでなく、
さまざまな年中行事にいろどられているのが、
日本本来の姿だそうです。

今回は、数々の年中行事の中でも、
もっとも大切な「お正月」について
お話していただきました。

何気なく繰り返している「お正月」行事。
注連縄(しめなわ)や門松、
鏡餅を準備し、
お節料理や雑煮でお祝いしますが、
それぞれにどんな意味があるのでしょうか。

正月とは、神様を呼ぶ行事であり、神様をもてなす行事です。

正月の神様は、
年神(としがみ)、
年徳神(としとくがみ)、
正月神と呼ばれますが、
この年神様を呼ぶところからはじまります。

神を呼ぶのは、神は1箇所に常駐するものではないとされていたからです。

かつては「必要なときに呼び、用が済めば帰っていただく」ものだと考えられていました。

神様は「夜」に登場されると決まっています。
ですから、正月も夜中から祝うことが大切です。

神様と共に新年を祝うため、日の出前の夜から正月行事をはじめるのです。

神様に来ていただくために、
家を清め、神様が来られる場所「依代(よりしろ)」を用意します。

神様が来られた後は、
料理を供して、共に食べ、共に祝います。

日本では、神様が非常に身近な存在であったことのあらわれです。




事はじめ、餅つき 正月準備は、12月中旬からはじまります。
また、12月26日は餅つきをする日です。
鏡餅 鏡餅は「魂」の象徴であり、神様の来るところです。
魂とは、本来丸いものとされており、丸いものは、神の霊魂の「依代」となってくれます。「鏡」や「丸い石」も、神の霊魂が宿るものであり、神社のご神体として鏡や石が祀られているのはそのためです
注連縄
(標縄、七五三縄)

注連縄は区切りです。注連縄で囲まれている場所は、清浄な場所であると標示するために飾ります。玄関に飾ることにより「家全部を囲んだ」と示すことになります。

お客様を呼ぶときに、家を掃除するのと同じように、注連縄で囲むことで清浄さを示して、神を呼ぼうとしているのです。

門松

松も、神様の「依代」です。神様の乗り物だともいわれています。

能楽堂の鏡板には「松」が描かれていますが、松の前で能を舞うことは、神に奉納していることを示しています。現在は、能が奉納目的ではなく芸能になっているため、松に背を向ける形になっていますが、神事としての能(春日大社など)では、松に向かって能を舞います。

雑煮、お節料理

正月の料理は、神様といっしょに食べる、または神様のお下がりを食べる「共食(きょうしょく)」が基本です。毎日のお供え(日供)もしますが、正月には特別なもの、我々がおいしいと思うものを準備して、神様と共に食べるのです。

神事では「直会(なおらい)」という行事が重視されています。直会とは、神様からのお下がりの酒や食べ物などいただく行事で、神様が召し上がったものをいただくことで、神との結びつきを強くし、その加護を期待する行為です。


最初から会場を笑いの渦に巻き込みながら、お話される芳井先生。(ご本人は全然笑われないのです)
脱線しながらも「お正月」の意味を、わかりやすく楽しく語ってくださいました。
展示物のテーマも、もちろん「お正月」。
まだ時期が早いため、なかなか思うように揃いませんでしたが、知恵を絞ってお正月らしいモノを集めてきました。
ポチ袋、祝い箸、屠蘇器(お屠蘇を飲むための器)、雑煮椀、正月らしい野菜(金時人参、海老芋、くわい)。
壁には、京都のものを中心に、さまざまな注連縄の写真を飾りました。
 

第2部 注連縄を作ってみよう!


第2部では、実際に注連縄を作ってみることになりました。

出席者それぞれに、下処理が済んで、16本ずつ束にされている「藁」を配り、
和の学校スタッフ・山下実演の元で、実際に縄をない、注連縄を作りにチャレンジします。

普段、荷物などを縛るときに使う縄は「右ない」というない方ですが、
注連縄は基本的には「左ない」を用います。

「神様のための注連縄とロープが、同じものではいけない」という考え方なのだそうです。
もちろん、注連縄は1種類ではないため、意匠によっては「右ない」を用いることもあります。

上手く作れた方、藁を相手に四苦八苦される方。さまざまな方がいらっしゃいました。

中には「家で試したいから、もう1束ください」と持って帰られる方や、その場でもう1つ注連縄を作って帰られる方も。参加者のご家庭では、手作りの注連縄を飾られる方が増えるかもしれませんね。

「昔は感謝の儀式が多かったが、近年減ってきている気がしますが」との質問に、
「感謝の気持ちを表す行事は減っていますが、
セレモニーや異文化に触れる体験を好む人が増えているため、
これから復興していくかもしれません」と回答され、
最後に「皆様、良いお年を」と、ひと足早い年末のご挨拶にて、閉会しました。

和の学校の山下が講師となり、注連縄を作ります。
会場では縄をなったことが無い人がほとんど。
でも、山下も一昨年までは初心者でした。
うーん。むずかしい!
上手く作れるようになった人が、隣の人に教えて・・・と
ワイワイと楽しい雰囲気の中、
なんとか作れるようになりました。

芳井先生も注連縄の指導にあたってくださいました。
注連縄作りの後に出されたお菓子は、俵屋吉富さん謹製。
松葉をかたどった打物(落雁)である「栄え松」と、
富士山の焼印が押された麸焼煎餅)「富士山」。
どちらも、お正月らしい縁起のいいお菓子でした。
俵屋吉富

サラダ隊 賀茂なす の 思ったこと

全体的に時間が押してしまって、まったくもって大変だった今回の講座。
興が乗ると大変なことになると実感しました。

しかし、その分盛り上がりも最高で、今迄で一番笑い声の多い講座になりました。

それもこれも、なんといっても芳井先生のお話が面白かったおかげでしょうか。
ともかく笑いが絶えず、大いに楽しんでいただけたのではないかと、勝手に喜んでいます。
まぁ、本編よりも、余談の方がが多かったような気がしないでもありませんが…… 
「余談をもっと聞きたかった」などという声も多かったようですので、それもまた“よし”なのでしょう。多分。

個人的に、年中行事や歳時記には非常に興味を持っていますので、もっと深く、広く、そして正月行事以外のこともお聞きしたいと思いました。

ちなみに、我が家では正月らしいことはほとんどしません(実家や祖父母宅は別)。
しかし、来年からはもう少しマジメに、正月に取り組んでみようかと思います。
我が家にも、神様をお呼びしたいですからね。
 
当日のアンケートから

○お正月は神様に来ていただく特別な日だとわかりました。
  それだけで来年の元旦の迎え方がかわります。

○とにかく先生のお話は楽しかったです。
  「お正月」について、日本人でありながら何も知らない事におどろいてしまいました。
  知らないという事にさえ気づいていなかった。
  これからは、当たり前にある事にも「?」っていう気持ちを忘れずにいたいです。

○縄ないもさせてもらい、ぶきっちょな私ですが、さいごまで進めて(フワフワでしたが)うれしかったです。
  こんな時間もいいなぁと感じました。

○興味深く楽しいお話でした。脱線した話の内容もおもしろく、もっと聞きたかったなぁと思いました。
  しめ縄は思った以上に難しかったです。
  スタッフの方がおっしゃっていたように、これを作ることにより
  正月を迎える気持ちが違ってくるということが、分かる気がしました。

○正月の意味がわかり(おもしろく)よかったです。
  私も大学のとき、先生のような教授に勉強をうけたかったですね。
  おもしろいだけでなく、便利さを求めたみかえりが、今、いろいろ出てきているんだろうなと思いました。

○先生、脱線しすぎです。でも、正月に込められた意味がとても良くわかりました。
  また先生のお話をお聞きしたいです。

スタッフ後記


今回の講座準備は、前日からはじまりました。

何をしていたか? そう、藁の下処理です。
藁についたゴミや余分な葉っぱなどを取り、あまりに短かったり、細かったりする藁ははぶいていきます。

その後、藁を良く叩き、お湯で濡らして柔らかくしておきます。
気軽に参加したのですが、4人がかりで3時間もかかる作業だとは思いもよりませんでした。

それでも叩き方が足りず、当日も2時間ほど、藁たたきが必要だったのですから、注連縄作りって大変なんですね。
そういえば、昔は「1日仕事だった」と聞いたことがありますが、その感覚がよくよく理解できました。

もうひとつ大変だったのが、正月らしさを出すための飾り物。

これも前日に買い出したのですが、クリスマスもまだのこの時期、正月用品を買うには若干早すぎたようです。

門松はもちろん、鏡餅も見つけることができず、本気で困っていたのですが……。

ふと目に付いた漆器売り場を見て「お屠蘇セットや塗りの椀はどうだろう!」と思いついたのです。

もちろん、そんな高価なものは買うわけにはいきませんので、それぞれの家からかき集めてきた次第です。

次の日、文房具を買いに某ストア・○ポに行ったら、ディスプレー用の鏡餅や門松を発見。
「こんなところで出会うとは!」と、少し悲しい気持ちになったのは、スタッフの秘密です。

知恵をしぼって、それなりに華やかな正月飾りになったのではないかと思っていますが、いかがだったでしょうか。

実は、今回はいつもよりもスタッフが少なめでした。お気づきになりましたか? 
ですから、裏方はちょっとバタバタ。
とくにお菓子を並べたり、お茶の準備をするのが大変だったようです。
「ん? なかなかお茶が出てこない」と思われた方、そんな事情でしたので、申し訳ありませんでした。

また、お菓子が行き渡っていなかったりもしたようです。
そんなときは、容赦なく、身近なスタッフを捕まえて「お菓子がない」と言ってやってくださいね。
すぐにお持ちしますので。

毎回、こんな風にバタバタと楽しく準備、運営しています。

次回は「sin-bi」さんではなく、外に飛び出しますので、ぜひご参加くださいませ。

花:「冬の花たち」
前回が「和」の花中心だったため、
今回は「洋」の花を中心に。
ホワイトの花や実を多用して、
冬らしさを表現しています。
花政

カラー バンダ ナデシコ 綿
クリスマスブッシュ アマリリス
ボリスベッカー マスチルベ
ストリフ トルコキキョウ バラ
ダイヤモンド・リリー アオモジ
ホワイトスター ミモザ ナンキンハゼ
こちらは受付に生けてくださった花。
白と赤でクリスマスのイメージ。
花政

スイセン サンゴミズキ
 
前日に、藁のいらない部分を取り去る作業をしているところ。黙々と作業を続けました。
いつものように美しい花を生けてくださる花政の方と、花の種類を聞く、和の学校スタッフ。

 

次回は、1月20日(土) 「鬼 〜節分の謎、お見せします〜」 高野朝美先生 です。

和文化サラダの全講座内容と各先生のプロフィールはこちら。申し込みもできます。

日本文化そもそも レポート

和文化サラダ レポート

こころ塾 トップページへ