和文化サラダは日本文化のエッセンスを
サラダボウルのようにいろいろ体験できる講座です。
季節をテーマとして、その道の先生に優しく楽しく語っていただきます。

これは和の学校ボランティアスタッフが「サラダ隊」となって
それぞれの感性で書く「和文化サラダ」レポートです。

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花:野菊と紫陽花
花政

 

和文化サラダ 第2回 平成18年11月10日(金)

  紅葉 〜秋を染める〜
 
レポート:サラダ隊 万願寺とうがらし

写真:松尾宇人

第1部 吉岡幸雄先生講演

後ろが「襲(かさね)の色目」の秋の色です。十二単(じゅうにひとえ)の袖を模したもの。左から「紅葉」「黄菊」「黄朽葉」。

前が染めの材料。秋の色に染まるもの。
柘榴(ざくろ)、黄蘗(きはだ)、矢車(やしゃ)、栗(くり)、蘇芳(すおう)、橡(つるばみ=どんぐりの古名)、櫨(はぜ)、茜(あかね)、刈安(かりやす)、紅花(べにばな)。

「化学的なものを一切使わない、江戸時代以前の技法、できるだけ古い時代にそった技法で、伝統的な色を今日にあらわしたい」

吉岡先生のこんな力強い言葉で、講座は始まりました。

本格的な京都の紅葉シーズンを前に、
「紅葉〜秋を染める〜」を目の前で実践いただきながら、
「日本人がどう秋を楽しんできたか?」というお話から、
「美しいものとは、どういうものなのか?」
「季節感を感じ、あらわすことの意味」
「季節感と色の密接な関わり」
「教養とはどういうことなのか?」といった、
文学にも造詣の深い吉岡先生ならではの、
染色を通した日本人の根幹に迫るテーマまで、
笑いを交えながら、非常にわかりやすくお話いただきました。

印象に残ったのは、“京都”というキーワードです。

染色自体は、古来から全世界でおこなわれてきたこと。

例えば、イギリスでは苔で染めていたというし、インドやペルーでは虫で染めることもあったらしい(赤色になるそうです)。

一番きれいに染まる『絹』。
『絹の道』と呼ばれるシルクロードで、染めの技術も伝承されていったこと。

非常にダイナミックな話に、世界地図を頭の中に浮かべながら、ちょっとワクワク。

その中で「日本の色って何だ?どこから始まったんだ?」というお話になりました。

飛鳥時代の前までは
唐のまねをしていた日本が、
900〜1000年前、菅原道真が
遣唐使を廃止したのをきっかけに、
京都の地で「日本的なもの」が芽生え始めたということでした。

そしてこれには、“京都の美しい自然”が大きく起因しているということでした。

古今集以来、歌を詠むときには「季語」が必要です。

四季の移ろいを愛で、あわせて心境を詠む。

着物も季節にあった色を選ぶ。

歌や身なりの中で「季節感」を出せることが、日本では教養とされてきたこと。

源氏物語等を引用されながら、色の持つ奥深さを考えさせられました。

一つ一つの植物や色に対しての詳しい解説もいただきました。

染屋は、この時期になると収穫が気になるとおっしゃってましたが、
今の日本では珍しくなっている様々な植物を常時100種類ご用意されているとのこと。

この収集だけでも、たいへんなご苦労ですね。

黄櫨染(こうろぜん)の説明をする吉岡先生。
黄櫨染とは櫨(右上写真の小さな丸太のようなもの)と蘇芳(すおう)で染められたもの。
平安時代には天皇や皇后にのみ許された高貴な色だったとか。
蘇芳(すおう)の染めの実演。
講演が始まるときは真っ白だった絹が、終わり頃には鮮やかな赤に染まっていました。
染めあがった色を見て会場から、おおっと声があがりました。

 


第2部 実際に染めてみました&吉岡先生とのディスカッション


蘇芳(すおう)から「紅」に染めるのを実演いただいた後(それはそれは見事な赤でした)
5名の方に立候補いただき、実際に自分達で染めの体験をしていただきました。

実際に染めた方々からは、こんな声が。

「15分・15分でそれぞれ染めたが、これだけでも肩や背中が痛くなった。
が、香りと優しい水の感覚にとても癒やされました」

「寒い時でも、染めの水の中はあたたかい。
繰り返すのは根気のいることだけど、じょじょに色がついていくのは楽しかった」

最後に、ご質問のあった現在の「色の再現」のお仕事について

日本には染めの記録が7割がた残っている。
また、1200年前に染めたものが今でも色あせないで残っている。
その技術の高さもすごいし、それを伝えている日本という国も素晴らしい。

と締めくくられました。

第2部は、皆さんが前に出てこられて自由に吉岡先生に質問をされていました。 「染めてみたい人!」との声に、「はい!」と約10名ほどの手が上がりました。じゃんけんで勝った5名の方が実際に染めの体験をされました。

 


サラダ隊 万願寺とうがらし の 思ったこと
吉岡工房の紅花の色で染められた干菓子は京都の料亭「和久傳(わくでん)」で出されているものです。
ほうじ茶とともに配られました。
やさしい和三盆の味わいに、ほっこり。

吉岡先生の染めだけの世界には留まらない、日本文化に対する考え方、
非常に勉強になりました。

明日からでも実践できることは、自分なりに始めてみようと思いました。

今後、「吉岡先生と読む源氏物語」なんていいう講座も
面白いのではないかと思います。
(個人的には、ぜひお願いしたい!)

また、染めの老舗のお家に生まれ、
伝統的な世界に生きながらも、いろいろなことに挑戦されている、
そんな印象を受けました。
 
当日のアンケートから

○色とは、季節感をあらわす。
  好き嫌いではなく、季節と一緒に楽しみたいと思いました。
  色・・・奥深いですね。
  吉岡先生の話はとても上手くて楽しかったです。

○何より先生が気さくな方で、また実際に染色する所を見せてもらい
  内容がとても身近に感じました。日本の色彩感覚、美意識が少しでも
  分かったように思います。日本の文化を体感できる良い機会だと思います。

○植物の染色は大変味わい深い色で、化学染料とは比べものになりません。
  今日、実際に染色されているのを見て、やはり根気と手間のかかる作業だと
  思いました。そんな中から、素晴らしい色が生まれるのだと思いました。

○会場の蘇芳の香りが立ち込め、開講前から心躍りました。
  また、先生のお話も、染めの知識がなくても、よくわかりました。
  実際に染めの様子を見られたことも貴重な体験となりました。

○染色に関しては全く無知だったのですが、聞きやすいお話で興味深い
  内容でした。日常服を着る時に、季節感を自分なりに少しこれから考えて
  みようと思いました。 


スタッフ後記


私自身、染めるところを目の前で見るのは初めてで、
あくまでも手作業であることと、
出来上がった色の鮮やかさ(会場では歓声があがったほど)に、本当にびっくりしました。

この日、早くから来ていただいて、実演を見せていただいた佐藤さん、本当に有難うございました。

また、この日も「花政」さんより見事なお花をご提供いただきました。
お花の周りに人が集まり、写真を撮ってらっしゃる方も多かったです。

今回印象的だったのは、染めが終わった後「どうぞ前に来て見てみて下さい」の先生の声に、
参加者の皆さんがどんどん出てきてくれて、先生にも活発な質問があがっていたことです。

自由な雰囲気の中で、五感で愛で、頭で理解し、といったことが実現できたのではないかと思います。

スタッフの皆さんも有難うございました。


花:「秋の盛り」
今回は照葉(てりは)を使い、深まり行く秋を感じます。

マルバマンサク、ドウダンツツジ、ミズキ、ナンキンハゼ、イガフウ、
ニシキギ、ユキヤナギ、ノギバラ、チョコレートコスモス、
カンギク、ヒゴギク、コギク、マンジュギク、サガギク、
ワレモコウ、デンファレ、リンドウ

花政
 
お花を生けてくださった花政さんの方です。霧吹きをしたら照葉がとても美しい!
shin-bi(シンビ)の田村武さん。
和文化サラダ実現に向けてご尽力くださった方です。
吉岡先生の隣でずっと染めの実演をしてくださった佐藤竜子さん。
手も真っ赤に染まってしまいました。
ご自身も美しい作品を作られる染織家です。

 

次回は、12月8日(金) 「祝 〜お正月は何をするの?〜」 芳井敬郎先生 です。

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